タクシードライバーの仕事は、収入の仕組みや働き方を外からはイメージしにくいものです。ここでは、洛陽交運で働くドライバーに、2車3人制の仕組みと収入への考え方、京都ならではの乗務の特徴について聞きました。
前職は沖縄の広告代理店で制作の仕事をしていたR.Tさん。地元の京都に貢献したいという思いと、自分のペースで働ける環境を求めて転職を決意し、未経験からタクシードライバーの道へ進みました。「乗ってよかった」と思ってもらえるドライバーを目指して日々の乗務に取り組んでいます。

タクシードライバーへの転職を考えた理由は、「地元の京都に貢献したい」「一人でマイペースに働きたい」と考えたのがきっかけです。また、仕事を調べるうちに「修学旅行生の対応をしてみたい」と感じたのも理由のひとつです。
京都のタクシーといえば、赤い車体と三つ葉のマークが印象的で、自然と洛陽交運が思い浮かび、説明会に参加しました。
いくつかのタクシー会社を受けた中でも、洛陽交運は親身に相談に乗ってくれたのが印象的でした。現役のドライバーを呼んで話を聞かせてくれたり、不安がなくなるまで相談に乗ってくれたりして、そうした雰囲気や社風に安心感を持てたのが大きかったです。
洛陽交運では、働き始める時間を朝の5時から15時の間で調整できます。私は早起きが苦手なので、だいたい13時や14時から業務を始める日が多いです。
例えば、趣味のスポーツ観戦で見たい試合の中継が深夜にある日なども、翌日の出勤時間を調整しています。

説明会では、勤務時間の希望によっては12時間から14時間働く人もいると聞いて、そのときは素直に「それは長いな…」と思いましたが、洛陽交運は2車3人制で、2日働いたら必ず1日休みがくるので、実際に働いてみるとメリハリをつけやすいと感じています。
ただ、連休は基本的にありません。正月やゴールデンウィークなど、世間一般がお休みの時期は「稼ぎ時」なので、場合によっては友人や家族と休みを合わせづらい点はあるかもしれません。
例えば1車2人制だと、2人で1台のタクシーを共有することになりますが、洛陽交運の「2車3人制」は、1日の中で他のドライバーとの交代を気にせず、自分が働きたい時間まで働けます。お客様が多い時間帯を狙って集中的に走ることもできますし、少し疲れたら路肩に停まって休憩を取ることもできます。
最初は長いと感じていた勤務時間も、自分のペースで動けるようになると気にならなくなりました。私の場合、前職のような平日の5連勤よりも、2日働いて1日休むサイクルに慣れると、こちらのほうが体力的にも負担が少ないように感じます。
収入面では、転職前に「労働時間が長くないとお給料が上がらないんじゃないか」と不安に思っていました。でも実際は歩合制なので、本当に頑張ったら頑張った分だけ稼げる。自分のペースでメリハリをつけながら、きちんと収入につなげられるとわかって、その不安はなくなりました。

走っていて感じるのは、朝・昼・夜で人の流れが変わるため、どの時間帯を主軸にするかで働き方も変わってくるということです。収入を安定させるうえでは、いかにたくさん走るかがポイントだと感じています。
最近ではアプリも普及が進んで、お客様の割合も増えているように感じます。流しでたくさん走りながら配車アプリも活用していくと、自然と営業のコツが掴めてきますし、「どこにお客様がいるのか」という感覚も走っているうちに身についていきます。

京都で賑わうスポットは、やはり祇園周辺のエリアです。基本的に朝や昼は、観光地や郊外から祇園や京都の中心部に向かう人をお送りすることが多いです。
夜になると反対に、祇園にいた人を郊外に送る流れになります。終電後は長い距離をご利用になるお客様も増えます。私は主に夕方から夜に勤務していますが、夜の京都は渋滞しにくく、スムーズに走りやすいと感じています。
私は京都が地元なのですが、タクシードライバーになったからこそ強く「京都」を感じることがありました。それが、初めて芸妓さんをお乗せした瞬間です。京都は外国の方がとても多いので、お茶屋さんの前にタクシーをつけると、芸妓さんや舞妓さんが出てくるのを待っている観光客に囲まれることもあるくらいに人気です。
京都市内の舞妓さんや芸妓さんの送迎は、洛陽交運が属するヤサカグループが主に担っているため、こういった仕事に携われるのも、このグループならではだと感じますね。
舞妓さんや芸妓さんをお乗せする際は、通常のお客様とはまた違った緊張感があります。着物の帯があるためシートに浅く座られますし、カツラや着物も重いため、振動や急ブレーキは避ける必要があります。
お送りした先で踊りが控えているのに、万が一カツラがずれてしまったらお仕事に支障が出てしまいます。そのため、過度な近道はせず、できるだけ広くて安全な道を選ぶことでスムーズにお届けするよう心がけています。

洛陽交運には「観光資格」という社内資格があり、修学旅行の仕事を担当できるようになるのは、資格を取得したドライバーです。修学旅行の仕事が入った日は、朝の6時から7時ごろに出社して、その日一日を貸切で学生さんと一緒に過ごします。5時間から7時間ほどドライバー兼ガイドとして同行する形です。
特に春と秋のシーズンは修学旅行の仕事が増えます。学生さんたちが「ここに行きたい」「お昼はここで食べたい」と予定を決めているので、そのオーダーに沿って回ります。修学旅行が楽しいものになるかどうかはドライバーにかかっている部分もあるので、伝え方や誘導の仕方、安全面にも気を配っています。
一日一緒に過ごした学生さんたちが最後に「本当にありがとうございました」「お別れしたくないです」と言ってくれることがあります。お別れの瞬間まで車の外で手を振ってくれる姿を見ると、何物にも代えられないうれしさを感じます。京都のタクシードライバーだからこそできる経験だと思いますね。

私の車両では、後部座席にホワイトボードを置いています。天気や「今日は何の日」といった情報を調べて書いておくと、お客様が喜んでくださったり、会話のきっかけになったりします。
せっかくタクシードライバーになったので、自分なりの工夫をしたいと思って始めました。最初は一言メッセージくらいでしたが、続けているうちにどんどん内容が増えていきました。お客様同士で盛り上がってくださることもあり、そういう様子を見るとうれしいですね。
たまに「このホワイトボード、見たことがある」と言われることがあります。リピートのお客様だとわかりますし、乗ってくれた方の心に残っているようで励みになっています。
タクシードライバーは、「命を預かっている」という責任のある仕事です。地理を覚えることはもちろん大事ですが、私のような地元の人間でもまだわからない場所はありますし、お客様によって要望も異なるので、そこは日々勉強だと感じています。
ただ、何よりも大切なのは、安全運転で目的地まで無事にお送りすることです。長時間の運転になる中でも、その意識は毎回忘れないようにしています。
京都の道の覚え歌「丸竹夷(まるたけえびす)」は、小中学生の時に歌った覚えがありますが、ドライバーになっても心の中で歌っています。「丸、竹…次だな」みたいな(笑)。
業界用語として知っておいた方が良いのは、「お帳面」でしょうか。芸妓さん・舞妓さんの送迎がある京都ならではのもので、その場では支払わず後で精算する仕組みです。「お帳面」は、お茶屋さんごとに明細があり、お客様の前で直接お金のやり取りをしない配慮だそうです。
私も最初は、お客様が乗車される場所が毎回違うので、そこから目的地までの経路がわからず不安でしたが、営業所に帰れば、先輩方がいつもアドバイスをくれました。
洛陽交運のドライバーには上下関係がなく、「今日どうだった」「ここでお客様を乗せたよ」とフランクに情報を共有できる関係性です。先輩には、尊敬できるプロフェッショナルな方もいます。とあるベテランドライバーは、観光地やお店のことにとても詳しく、京都だけでなく大阪や神戸の道まで把握しています。そういう先輩が身近にいる環境はありがたいですね。

私は今、タクシードライバーとして毎日楽しく仕事ができています。転職した当初、親には心配をかけ「大学を出てタクシードライバーなの?」と言われたこともありました。でも、前職の頃よりも元気に仕事をしている様子を見て、今は安心してくれているようです。
目標は、「この人のタクシーに乗ってよかったな」と思っていただけるドライバーになることです。京都にはさまざまな人がいますので、京都が好きな人にはもっと好きになっていただけるように、京都に詳しくない人にはその魅力を知っていただけるように、これからも学び続けていきたいと思います。
とにかく安全運転が第一ということです。お客様を無事に目的地までお届けできれば、それだけで100点だと思います。
道は走っていれば覚えていきますし、会社に戻れば先輩が教えてくれるので、頼ってほしいと思います。無理のないペースで、自分のスタイルを見つけていってください。
1949年創業の洛陽交運は、京都でタクシー事業を展開するヤサカグループの一社です。ヤサカグループの一翼を担う存在として、勤務体制や社内設備を整えながら、京都でタクシー事業を続けてきました。京都市民からは「ラクヨー」と呼ばれ、地域に根付いた存在として長きにわたり親しまれています。
また、ドライバーが無理なく仕事を続けられるよう「2車3人制」などの勤務体制を導入し、働き方の工夫を行っています。実際に、異業種から転職して現在ベテランドライバーとして活躍している社員も在籍しています。
※2026年4月調査時点
| 職種 |
タクシードライバー
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|---|---|
| 雇用形態 |
正社員
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| 本社所在地 アクセス |
京都市南区西九条森本町65
近鉄京都線「十条駅」より徒歩1分
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| 勤務地 |
京都市域全般
長岡京市、宇治市、京田辺市、木津川市など
周辺地域を含む |
| 出勤時間 |
5:00~15:00までの自由出社
出庫時より10時間・休憩1時間30分を含む
※最大14時間勤務可能 |
| 休日 |
月10~11日(シフト制、2勤1休)
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| 必要資格 |
普通免許(1年以上)
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京都は、季節や時間帯によって人の流れが変わる街です。変化を楽しみ、前向きに取り組める方ほど、この仕事の面白さを感じやすいでしょう。