未経験からタクシードライバーへの転職を考える人にとっては、仕事の流れや働くイメージを持ちにくいかもしれません。ここでは、洛陽交運のドライバーのインタビューをもとに、京都で働く1日の流れを追いながら、仕事の面白さや難しさを紹介します。
前職は経理の契約社員として勤務。キャリアや収入面への不安から転職を考えていたときに洛陽交運の求人広告と出会い、未経験からタクシードライバーへ転身しました。現在は大学生と高校生の2人の息子を育てながら、ドライバーとしてキャリアを重ねています。

以前は経理の仕事をしていましたが、契約社員だったのでこの先の収入について不安に思っていました。さらに子どもが進学する時期で、学費などの出費も重なり、転職を考えていたときに洛陽交運の求人広告に出会いました。
タクシーは「利用するもの」という考えでしたが、この求人を見たときに、稲妻が走ったような感覚があって、すぐ説明会に行ってみることにしたのです。
その日の説明会では女性の参加者が私一人だったこともあり、採用担当の山口さんが気を配ってくださって、マンツーマンでじっくり話を聞いてくれたのが印象に残っています。仕事への不安や気になることをひとつずつ丁寧に答えていただき、気付いたら「私はタクシードライバーになるんだ」と思っていました。
未経験だったので、最初の研修では「タクシードライバーはこんなに覚えることがあるのか」とびっくりしましたね。
初めてのメーター操作のときは、何がどうなっているのかわからず、研修が終わってから教官に質問したり、フォローされたりしながら覚えていきました。道も研修で繰り返し教えてもらい、ここまで来たらあとは「やるしかない」と思えました。
私は、朝5時台か6時台の時間帯に出勤することが多いです。朝5時台の場合は、起床は4時20分ごろですね。
スケジュールのポイントは、時間に応じて回る場所を変えることです。例えば朝一は、繁華街で朝帰りのお客様が乗車されることもありますし、ホテルのチェックアウトの時間帯の10時過ぎには、京都駅へ向かうお客様に期待して周回しています。
平日と休日でお客様や人の流れ・動きが変わるので、その点も考慮しながら回る地域も考えています。
稼働時間は10時間が基本です。洗車や格納なども含めると、勤務全体では約12時間になることもあります。
1日の中で「この時間は病院への送迎」「この時間は買い物のお客様」というように、時間帯ごとの人の動きをイメージしながら走るようにしています。自家用車で運転するのとは、まったく違う感覚ですね。
走りながら「どの時間、どの道にお客様がいるのか」を考えて、気付きがあれば次の日も同じ道を走ってみて確かめるといった積み重ねが大事です。日々考えながら走ることで、入社から8ヵ月程経った頃に、自分のやり方が見えてきました。

未経験で入ると、最初はドライバー用語に戸惑うこともあります。私が最初に覚えたのは「実車」でした。メーターを回すときに実車ボタンを押すのですが、スーパーサイン(車両の表示灯)には赤文字で「賃走」って表示されますよね。最初は「実車」という言葉が板につかなくて、よく「賃走」って言ってしまって「実車だよ」って注意されましたね。
京都の2車3人制では「本番」と「あんこ」という言葉もあります。自分の担当車がある人を「本番」、担当車がなく、先輩の車を使わせてもらう新人を「あんこ」と言います。
「有線」も覚えておいた方がいいかもしれません。タクシーは基本無線通信ですが、実際電話することを有線というんです。有線は「電話をかけて」という意味です。
羽子板は、無線機の子機のことです。車内に電話の受話器のようなものがあって、形が羽子板に似ています。それを使って無線通信したり、配車情報が出たりするので、「ちゃんと羽子板を見てください」「羽子板の指示に従ってください」と教えられます。ドライバーは羽子板を見ながら動くのが基本です。そこを見ずにカーナビだけに頼ると、違う場所へ向かってしまうこともあるので、羽子板はとても大事です。
あとは、「未収」「現収」もあります。現収はその場で現金を受け取る通常の決済で、未収は後日回収する方法です。例えば、未収なのに現金いただいてしまうと二重収入になるので要注意です。こういった業界用語は、研修でしっかり教えてもらえるので安心してくださいね。

京都のような多くの人が行き来する観光地でも、意外と朝はタクシーが少ない場所があり、無線が入ることがあります。その無線を朝一番に取れたら、「今日はいい日になりそうだ」と思えます。
これは洛陽交運の特徴でもありますが、営業中は舞妓さん・芸妓さんからの配車が入ることも少なくありません。遠方への乗車となることもあるので、私は積極的に取るようにしています。
私はだいたい朝5時台から6時台に出勤し、曜日や時間帯に合わせて走る地域を変えています。こうしたスタイルも、自分に合うやり方を少しずつ見つけてきた結果です。先輩から別の回り方を勧められたこともありましたが、真似をしてもうまくいかないこともあったので、結局は、自分で走りながら積み重ねて気付いていくしかないのかなと思います。
道を覚えることは業務で必要なことですが、その覚えた道がうまくつながって、スムーズに目的地まで到着できたときは気持ちが良くて、この仕事ならではの面白さを感じます。
そういったときにお客様から「スムーズで気持ちよかった」と言っていただけると、さらにうれしくなりますね。
閑散期の売上が壁になる人が多いと思います。忙しい時期は自然とお客様が増えますが、閑散期は自分から仕事を探さなければいけません。頑張ってもなかなか思うようにいかないことは、多くのタクシードライバーが経験するのではないかと思います。

朝は早いですし、長時間運転した後は、帰宅後も体が疲れがちです。この生活サイクルで家事との両立を大変に思うこともありますし、休みの日は、しっかり休むようにしています。
家事は、抜けるところは抜くようにしています。例えば洗濯は、連勤の2日目の休み前日にまとめるなどの工夫をしています。2車3人制なので休みの調整がしやすく助かっています。振り替えもできますし、用事がある日は「何時に上がろう」と自分でペースを決められます。

最初に道を覚えておいてよかった地域は、やはり京都の中心ですね。四条烏丸(四条通と烏丸通が交わる交差点)付近の通りや地理を覚えるところから始めました。まずはこのエリアを押さえておけば、お客様も納得しやすいです。
道を覚えるために使ったのは、研修で習った「丸竹夷(まるたけえびす)」です。地図を見ながら、わらべ歌を口ずさんで、コツコツと覚えていきました。
社内は、明るく楽しい方が多い印象があります。個人の仕事なので外に出たら単独プレーですが、接客業だからか、会社に戻るとよく話している方が多くて意外でした。
ただ、話さなければいけないわけではありません。洛陽交運は一事業所に約300名の乗務員が在籍しているので、時間帯が違えば全く顔を合わせないこともあります。「グループを作らないといけない」ということはなく、話したい人は話す、静かに過ごしたい人はそうする、それぞれが合わせられる環境です。

タクシードライバーに向いているのは、毎日コツコツと仕事に取り組める人だと思います。そして、数字への意識をしっかり持っている人です。
閑散期のように、頑張っても思うようにいかない時期は必ずあります。そういうときに大事なのは、1日や1ヵ月の単位で落ち込まず、1年を通しての収入で考えることです。目の前の数字に一喜一憂していると続きにくいかもしれません。

「まずやってみよう」という気持ちでしょうか。最初から「自分には難しい」と思わず、まずやってみる。実際、私もそうでした。タクシードライバーは「きつそう」「体が大変そう」というイメージもありましたが、転職してみたら良い意味で予想を裏切られました。
目標は、先輩方のように観光地に詳しくなることです。京都ならではですが、お客様から情報を聞かれることが多いので、それに答えられるようになって、より楽しんでいただけるようになりたいですね。
1949年創業の洛陽交運は、京都でタクシー事業を展開するヤサカグループの一社です。ヤサカグループの一翼を担う存在として、勤務体制や社内設備を整えながら、京都でタクシー事業を続けてきました。京都市民からは「ラクヨー」と呼ばれ、地域に根付いた存在として長きにわたり親しまれています。
また、ドライバーが無理なく仕事を続けられるよう「2車3人制」などの勤務体制を導入し、働き方の工夫を行っています。実際に、異業種から転職して現在ベテランドライバーとして活躍している社員も在籍しています。
※2026年4月調査時点
| 職種 |
タクシードライバー
|
|---|---|
| 雇用形態 |
正社員
|
| 本社所在地 アクセス |
京都市南区西九条森本町65
近鉄京都線「十条駅」より徒歩1分
|
| 勤務地 |
京都市域全般
長岡京市、宇治市、京田辺市、木津川市など
周辺地域を含む |
| 出勤時間 |
5:00~15:00までの自由出社
出庫時より10時間・休憩1時間30分を含む
※最大14時間勤務可能 |
| 休日 |
月10~11日(シフト制、2勤1休)
|
| 必要資格 |
普通免許(1年以上)
|
京都は、季節や時間帯によって人の流れが変わる街です。変化を楽しみ、前向きに取り組める方ほど、この仕事の面白さを感じやすいでしょう。